320】競技スポーツと娯楽スポーツ

いつの間にか、スポーツ全域に「 楽しんでやる 」という言葉が蔓延しています。
オリンピック選手からもそういった声が聞こえて来る。
何を言うのも自由かもしれないし気にする事でもないかもしれないが、、、日の丸を背負って楽しみに行くのかぁ…?。
真剣勝負を前に私としては聞きたくない言葉のひとつです。
正直、私には良い言葉かどうか分からず、おそらくリラックスしたいが為の言葉だろうとは思うが、やたら耳にする昨今です。
古来元々のスポーツとは人間が楽しむ為の身体活動を称し、遊戯性の強い運動の意味合いが強かったが、やがて様々なルールを設け挑戦欲が増し、競技性の色合いが濃いものになって行ったようです。
よってスポーツはひとくくりではないと言える訳で、「楽しんでやる」もいいけれど、競技種別によって言えたり言えなかったり、また競技者のレベルによっても聞こえ方も異なるということ。
私が大学4年秋季、首都リーグで首位打者争い(結果的には首位打者取れず、日体大の岡本が首位で私は2位)をしていた時も毎日の練習も試合も心底楽しんでやるなんて出来ようはずもない競争であった。
自分の体調、スイング、心のバランス、相手投手の球筋、配球、コンディション等々を考え、正にプレッシャーとの戦いでもあった。
実際時の集中力は今思えばかなりのものだったように思う。
事実、試合後いつもクタクタだった。
そこに「楽しんでやる」は全く当てはまらない。
「リラックスしてやろう」の方がまだ分かる。
あくまでも個人的な私感ですが、現代の競技志向の強いスポーツでは、この言葉はトップアスリートが言うにふさわしい言葉であって、誰もが口にするには違和感があり次元が違うと思います。
やるべき事をやり、尽くすべき所を尽くしたアスリートが言うのなら納得だが、さしたる努力も苦悩も無いのに、「 楽しんでやる 」は果たしてどうなのか?
トップアスリートが命懸けで咲かせた花をただ結果として周りが見ているだけで、咲かせた根っこの壮絶さを想像出来ず華やかな部分だけを真似しようとしているに過ぎないのではないだろうかと。
イチロー元選手の名言集の中に、「野球を楽しんでやるという人の気持ちも、言っている意味もわかりません」というのがある。
レベルは違えど私も全く同感てす。
ラグビーワールドカップを見た人も多いと思う。
日々の鍛練を積み重ね、代表に選出され、日の丸を背負って戦う。
私の出身大学の後輩に当たるスクラムハーフの流君なんか試合前の「君が代」斉唱で感極まって泣きながら歌っていたではないか。
他の選手も、そして帰化した選手も当然全員が心して歌ってた。
きっとそこまで来るだけでも並大抵の事ではなかったと推測出来る。
一度試合直前の控室のラガーマン達の光景を生で見てみたい。
そこには鳥肌が立つほどの感動や情熱が充満していると言う。
「楽しんで」などという思いはまず無いんじゃないだろうか。
日本の中学生硬式野球はエンジョイ志向の娯楽スポーツではないように思うのだが…。
「楽しんでやる」を使うならば、「人事を尽くしきった者が本番でリラックスしてやる」ということだと捉えたい。

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319】まだまだ厳しい

和歌山シニアさんとの2回戦、センターラインのしっかりした好チームで強かったです。
厳しい試合になるのは覚悟の上、何とか粘り勝てて良かったですが、やはり良い投手からは簡単に点は取れません。
今後の大きな課題と言えます。
これで関西ベスト8まで来れましたので来春の全国選抜大会の切符を3年連続で手にする事が出来ました。
あとひとつ勝ってベスト4に進めれば3年ぶりにタイガースカップ出場の切符。
そしてあと3つ勝てば3年ぶりに関西大会優勝のビッグタイトル。
まずは目の前の1勝でまた甲子園の土を踏めたらいいと思いつつ翌日の試合に挑みましたが、京都木津川シニアさんに打ちのめされました。
私が一番警戒していたチームでしたが、かなり集中力を高めて来られた。
そしてうちの自滅でもあった…。
そんなに甘くはないということです。
投手陣の整備を筆頭にかなり手前に戻ってやり直さなければならないと強く感じました。
まだまだ個々に甘さが目立つ。
ハッキリと豊中シニアは弱いと感じた。
もちろん監督である私の責任。
ここ一番でストライクを、バントを、捕球を、走塁を、スイングを、送球を、そして声を……、そう、大切な「ここ一番」で結果を出せる選手を育成しなければならない。
そういう選手になる事も育てる事も簡単な事ではないと理解はしているが。
幸運にも持って生まれた選手もいるだろう。
その子はその子でずっとそのまま歩むがそれとて残念ながら順風満帆ではない。
挫折感からの諦めの速さ等々、出来るが故の落とし穴がある。
野球を辞めるケースさへ稀にある。
実にもったいない話だが近年の子供達の扱いの難しさがここにもある。
この個性を伸ばせない一因が学校教育にあるような気がしてならない。
モンスター親子が多いから先生方も大変でしょうが、教育現場サイドや家庭にも原因があると私は思っています。
もちろん私の指導手腕の無さも大きいと反省している。
さて、プレッシャーに負けない、チャンスやピンチ、ここ一番に強い選手、今時の言い方をするならば「持っている」選手。
その貴重な能力は先天的な感はあるが、諦める必要はない。
今から体得出来る可能性は充分ある、いやこれから自分のモノにするのです。
その成長チャンスを逃さないために必要なことのひとつは間違いなく練習姿勢であり取組姿勢です。
その為に必要な考え方というのがあるように思う。
1から10まで真面目一辺倒で手を抜かずにやれとは思わない。
子供らしく手を抜き要領をかますのもいいでしょう。
但し、大好きな野球をする上でここ一番の「負けず嫌い」になって欲しいのです。
2度や3度の失敗に決してくじけることなく、いずれここという場面で納得のいく結果を出せる回数が増えるよう、「こだわった」練習をして欲しいのです。
野球日誌も自主練習もそう、良く見てもらおうと思ってやっているうちはまだまだ本物じゃない。
現状を理解し、どうなりたいが為にどうしているか? なのだと思う。
本気のその練習は微笑ましく誇らしいものであり、鬼気迫るものでもあるはず。
しっかり目的意識を持った鍛練に励んでいる姿が見えて来ればそれ以外で少々弛んだ時間があったとしても伸びて行くんだけどなぁ…。
好きな野球をやっている、いや親御さんのご理解のもと、やらせてもらってるわりには熱い心意気が無いように見える昨今です。
ただその気配が無いことはない。
表情や態度や日誌を見ていて2、3人には良い兆しがある。
あと7ヵ月で最後の日本選手権予選なのですよ。
今のままじゃ結果は知れてます。
以上は10月19日 作成。

本日5位代表をかけての対大阪交野戦でした。
実力は拮抗、ミスの重なった方の負けと予想してましたが、うちの質の悪いミス連発で完敗でした。
エースが投げない時はより一層皆で力を出し合わなければならないのではないのか。
タイガースカップも良いが来春の選抜全国大会は一人の投手で勝ち上がれるものではない。
それに向けての構成をしなければならないし、それにはこういう実践が一番効果的。
打てない、捕れない、走れない、気付かない。
おまけに謙虚さも素直さも欠いている選手も出てきて非常に残念。
今のレベルでは戦いに挑めないと思う。
結局私が一番「持っていない」のかもしれない。
ゆっくり考えてみます。 
応援有難うございました。  

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318】緊張の正体

成功体験を積めば積むほど、質の良い緊張感と同時に程良い集中力を体得します。
一方、悪い緊張感とでも言うべきか、本番で普段の実力の半分どころか2割も出せないドキドキ、バクバク感で地に足が着かない状態というのがあります。
ある本で読んだのですが、その後者の緊張の正体は、上手くやりたい、良く思われたい、注目されたい、という事が根底にあるからだそう。
物心が付く幼稚園期くらいからそれは備わり始めるようで、それ以前の時期には人目を気にする事も無く無欲なので、変な緊張は起こらないらしい。
後天的には絶対的な自信が持てればこれもまた変な緊張はなくて済むでしょう。
選手諸君、これ何かヒントになりませんか!? 

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